Debian GNU/Linux (sid)での日本語TeX環境(20100211版)

私が利用しているDebian GNU/Linux (sid)環境では、TeXの環境が2009年末にTeX Live 2009にアップデートされました。アップデート当時はptex(platex)が使えなくなったり(#561427)しましたが、現在では安定して利用できています。ただ、現在のところ、一部手動設定が必要なところがあるため、まとめてみます。
なお、私の現在のワークフローでは、dvipdfmxを利用してjsarticleを利用したPDFを作成できれば十分です。

CMapをTeX Liveから認識させる

jsarticleだけでなく、jarticleだけであってもCMapのインストールは必要です。CMapが以前non-freeだったという歴史上の事情により、現状CMapのファイルはいろいろなパッケージに散らばっています。明朝とゴシックの2書体だけの最低限の設定には、cmap-adobe-japan1をインストールすればよいです*1。残念ながらインストールしただけではTeX Liveからはまだ利用できないので、手動でリンクを貼る必要があります。

$ sudo ln -s /usr/share/fonts/cmap/adobe-japan1 /usr/share/texmf-texlive/fonts/cmap

JISフォントメトリックをdvipdfmxで利用する方法(フォントを埋めこまない)

ptex-jisfontsの自動設定は現状うまくいかないようです(最近手動設定しかしてなくて未調査)。

$ sudo echo "f jis-cjk.map" >> /etc/texmf/dvipdfmx/dvipdfmx.cfg

として、dvipdfmxの設定ファイルに1行加えるか、

$ dvipdfmx -f jis-cjk.map XXX.dvi

として、mapファイルをコマンドラインから指定すればよいです。

JISフォントメトリックをdvipdfmxで利用する(IPAフォントの埋め込み)

mainにotf-ipafontパッケージが入ったので、mainだけでIPAフォントを埋め込んだPDFファイルを作成できます。mainに入っているIPAフォントはTrueTypeなOpenTypeです。TexLive 2009に含まれているdvipdfmxは、OpenTypeなフォントとしては、PostScriptなOpenTypeフォントしか認識しません(バグ報告します)。そのため、TeXシステムにTrueTypeフォントとして認識させる必要があります。

$ sudo ln -s /usr/share/fonts/opentype /usr/share/texmf-texlive/fonts/truetype

とすると、認識されます(バグ報告します)。
また、/etc/texmf/dvipdfmx/jisembed.map*2などのファイルを作成して、

rml-jis H :0:ipam.otf
gbm-jis H :0:ipag.otf

として、mktexlsrとupdate-updmap*3すると、

$ dvipdfmx -f jisembed.map XXX.dvi

としてmapファイルをコマンドラインから指定すれば、IPAゴシックとIPA明朝が埋め込まれたPDFを作成できます。もし、埋め込むのをデフォルトにしたいなら、

$ sudo echo "f jisembed.map" >> /etc/texmf/dvipdfmx/dvipdfmx.cfg

とすればいいです。

*1:poppler-dataでも可

*2:/etc/texmf/dvipdfmx以下に配置すると、コマンドラインからの指定で

*3:本来はどっちかでいいような